「百年法」を読んで生きることの意味を考えた
本との出合いというのはいつも偶然で、なぜこの本を読もうと思ったのかももはや思い出せないのですが(いつもそうだけどw)。太平洋戦争が終結し、戦後日本にアメリカからもたらされた「不老不死=HAVI」の技術。これを受けた人は老いることなく、死ぬことなく(突発的な事故はのぞく)生き続けられる…という設定からしてもはや「はぁぁぁ?!?!?!」という感じなのですが、生まれてきた人間が死ななくなるのであれば、いずれ人口はパンクし国を滅ぼすことになる、ということで制定されたのが「百年法」。HAVIを受けて100年を経た人間は強制的に人生を終結させられる=安楽死という法律です。架空の話ですけど、何だか怖ろしすぎる…。
それでついに百年法が適応される2048年から物語はスタートするわけですが、そんな簡単に物事が運ぶこともなく、いろんな登場人物がそれぞれの思惑で行動するものですから、「これ、ちゃんと全部回収してくれるんだろうか?」と心配になってしまうほど。生きているうちは「時間は有限である」ことを感じずにはいられないわけですが、一度HAVIを受けてしまうと100年後に必ず死が訪れることを否が応でも受け入れなければならない。まぁそこから法律をかいくぐって100年経っても生きている人とか、HAVIを受けないという選択をしてどんどん老化していく人とかが出てくるわけです。「不老不死」によって「死なない人」はいつまで生きていればいいのか。そこに葛藤する人の心情が見事に描かれているのですが、こうしてさまざまな登場人物の生き方を見るにつけ、私ならどうするだろうと考え込んでしまいますね…。
読み物としても面白いですし、よくこんなこと想像つくよな~と感心すらしてしまいます。決して明るい気分になれる小説ではありませんが(笑)、老いながら、残された時間をいかに生きるかということを考えさせられる本でした。
【百年法(上)】
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【百年法(下)】
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